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詩と小説
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 僕は君を知らない。君は僕を知らない。僕は君を知りたかった。もう触れるとこもできないど。不安だった。君が傍にいても、どこにも行かないなんて保証はどこにもないんだ。つなぎ止めておく術を知らない。いくら言葉を紡いでも君に響いてるとは限らないだろう。だから僕は言い続けた。君を好きだと。君の僕の名を呼ぶ声が今も愛しく、悲しく僕の耳から離れていかない。
 どうして僕は今もここに居るんだろう。もうずっと動けないまま。僕の傍に君はもういないのに。君を思う気持ちだけが僕の全てを支配する。あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。いや、今の僕には時間は関係ない。君がいなきゃ何も始まらないし、終わることもないんだから。
 君が優しいことを知ってるのは僕だけだと思う。そう思いたい。繋いだ手から伝わる温もりと声と君のクールな表情だけが、僕の知ってる君のすべて。だから知ってるんだ。君が僕を想ってくれていたこと。
 
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無気力が全身に漂っていて
体が重いなんて感覚はもうない
それらを振り払う術なんて持ち合わせてない

地面に貼り付いて
いつからここにいるのか
いつまでここにいようか
考えるのも億劫だ

ドロッと
足の先から溶けていくのを感じた

このまま土に還るのだろうか

私の意識は微睡みだ

もうすぐ
私は溶けて消えてなくなる
あぁ 頭が痛い

耳をすませば風の音だけ
夜の風の音だけが通り抜ける

雲間からのぞく月は
おだやかに私の行くべき道を少しだけ照らしている

さぁ行こう

どこへ?
わからない

今日という日を思い返して
明日に思いを馳せる

不安だらけの毎日でも
何故だか期待をしてしまう

月明かりに照らされた道のその先は見えない

さぁ行こう
わずかな明かりを頼りにして
風の音に誘われるように

でもどうしてこんなにも頭が痛いの
浮き足立つ

世の中全体が
夏に向けて騒ぎ出す

キラキラと
夏を満喫する余裕なんてないの

夏が嫌いなの

私は今年も置いてけぼり

私だけじゃないでしょう

夏に浮かれるなんてできないの

暑いから
「この世の中に自分と同じ人間なんて誰一人として存在してないのよ。似ているように感じてもどこかが違う。全く違う人も多い。だから他人を完全に理解しようなんて無理な話ね。理解しようと努力しても無駄に終わることもあるし、何かを失うことだってある」
「だから理緒は理解しようとしないの?」
「頑張るだけ無駄だと思うだけよ。この人を知りたいって思う場合はそれなりに努力はするかもしれないけど」
「そんな人にはまだ出会ってない?」
 否定をしてほしかった。そんな人が僕なら嬉しいから。彼女は一呼吸おいて「さぁね」と答えた。少しショックだった。
「理緒にとって僕は努力するに値しないの?」
 若干刺々しい言い方になってしまったのは仕方ないことだ。
「昴は、そのままでいいの」
「答えになってないし、意味がわからないね」
「わかんないならそれでいいよ」
 これがいわゆる喧嘩というやつか。
「他人なんだから、同じじゃない。いつまでも同じじゃいられない。今日は昨日と同じじゃないでしょ。それと一緒。同じ時間を共有していたって同じこと考えてるとは限らないでしょ。昴は私のことを理解しようとしてるよね。どうして?」
「それは…!」
「答えられないの?」
「…好きな子のことを知りたいと思うのは当然の心理だから」
「昴らしい答えね」
「理緒が無理やり言わせたもんだろ」
「別に答えがほしいわけじゃなかったから。昴は私が好きだから理解したい。ありきたりな返答ね。まぁいいけど」
「僕たちはいつまで一緒にいられるかな」
「いつまでがいいの?」
「僕が死ぬまで」
「うわぁ…」
彼女は軽蔑のような視線を僕に送った。
「そんな言い方するなよ。理緒がいないなら僕は多分生きてけない」
「そんなこと言って、私が先に死んでも、のうのうと生き続けるに決まってる。愛する人を失って死ぬなら自殺率はもっと高いはずよ。まぁ支えを失って精神病む人は少なくないし、あながちそういう人も少なくないのかも。でも、愚かだと思う。自分の人生なんだから自分のためにいきなきゃ勿体ないわ。いつか必ず死ぬ。与えられた時間は有限なんだから他人のために自分を犠牲にする必要はないの。もし、私が先に死んでも馬鹿な真似はしないでね」
「じゃ理緒は僕が先に死んだらどうするの?」
「その時になってみないとわからないわね。第一、どちらかが死ぬまで一緒なのが前提になってるけど、そこまで長々と昴に付きまとわれるなんてごめんだわ。大学を卒業したら別々の道が待ってると思うの」
「僕が死んだら僕のこと忘れる?」
「その時になってみないと、ね。忘れることがなくても、いずれ薄れていくと思うよ。過去にこだわるなんてしたくないし。毎日が忙しいなら思い出すことも少なくなっていくまもね」
「そっか。僕じゃない誰かを好きになる日がくるのか。それは耐えられないかもしれないな」
「当たり前でしょ。死んだのに耐えられないの?それに忘れられたくないなら、死なないことね。私は誰かのものじゃないの。私の人生は私のものに決まってるでしょ。生きてる人間にあれこれ言われるのも好きじゃないのに、死んだ人間に支配されたくなんてないわ」
「そ、そっか」
「私が先に死んだら私のこと忘れていいよ。こんな人間に縛られてちゃ幸せにはなれないよ」
「忘れないよ。理緒がいなきゃ意味ないから」
 僕たちは同じじゃいられない。それは分かってた。この時、僕は近いうちに別れが来ることもなんとなくだけど感じてた。理緒もそうかもしれない。だからこんな話をしたのかもしれない。祈るように、すがるように「死ぬまで」と答えた僕は愚かなのかもしれない。

 大学に入っても彼女は相変わらずだった。彼女と過ごした大学生活は1年足らずだったが誰かと一緒にいるところを見たことはなかった。高校の時はある程度話をするくらいのクラスメートはいたが、大学では自分が積極的にならないと友達はできない。
「人付き合いなんて煩わしいだけよ。女の子同士ならなぜか陰口とかが付き物だしね。無駄に褒め合うのも嫌い。明らかに太ってる人に『ダイエットなんて必要ないよ。やせてるのに』とかね。相手の向上心を削ってるのか、それとも自分より劣った存在がいてほしいからなのか、そのへんはよくかわらないけど。軽い付き合いなら上辺だけの言葉で会話は成立するけど、そんなのに意味はないし。だからと言って本音を話せるまで深い付き合いになるにはそれなりに時間が必要でしょ。そうこうしてるうちにどろどろした人間関係の出来上がり。社会に出たら社交辞令とか嫌いな人相手にゴマすりが必要になってくるし、周りにいる人を選べないことも少なくない。そんなのを嫌になるほど経験する羽目になるのよ。今くらいは自由に過ごしてもいいでしょ。第一、私は友達がいなくて苦労したことはないもの」
 強がりでもなんでもない。これが彼女だ。陰口が嫌いな理由も僕は知っていた。面倒だからとか、人を悪く言えない根っからの優しい人間だからとかじゃない。悪い思い出があるからだ。
 高校の頃、一部から尋常じゃないほど嫌われていた。いわゆるイジメというのかもしれない。そういえば、僕たちの出会いも理緒が絡まれていたからだった。理緒が直接なにかされたってことは少なかったが、あらぬ噂が流れたことは多かった。理緒の存在そのものを否定するひどいものも少なくなかった。そんな噂を一切気にしない人もいたが、過剰反応していた人もいた。理緒が多少仲良くしていたのは前者だけだった。後者はからかう以外には理緒に近づこうとすらしなかった。理緒は気にしていないようだったが、いい気分ではないに違いない。だから嫌いなんだ。
群れるのが嫌い。なれ合いも嫌い。意地っぱりで強がり。それが理緒だった。そんな彼女を僕はかわいいと思っていた。いつの間にか愛しいとも思うようになった。永遠なんて信じてないけど、できるだけ一緒にいたいと願った最初で最後の人だ。
あなたの帰りを待ってるの
この部屋で
ずっとずっと

白い肌
大きな黒い瞳
真っ赤な唇

すべてあなたの思い通りに
あたしは作られた
あなたがあたしを作った

綺麗なピンクのドレスも
あなたのお手製
あたしのために作ってくれた

あたしはあなたのために存在している

待ってるのよ
あなたにはあたしが必要でしょう

この足は動いてくれない
あなたのもとへ行きたいけれど
 僕は彼女と一緒にいたかった。できるだけ同じ時間を共有したかった。だから、がんばって同じ大学にも入った。理緒の志望大は僕の偏差値ではかなり厳しく担任からは毎日のように志望を変えるように言われ、親には「浪人しても面倒は見ない」とまで言われるほどだった。でも、理緒だけは無理だとかそんな否定するようなことは言わなかった。応援とか励ます言葉とかもなかったけど。「受かったらいいね」と、ただそれだけだった。それでも気が狂いそうになるほど勉強漬けだった僕にはこれ以上ないくらいの励ましに聞えた。さすがに同じ学部は無理だったけど。
 合格発表の日、僕たち待ち合わせをしたわけではなかったが、偶然同じ電車に乗り合わせていた。
「受かってるかなー。心配になって来た」
「今さら心配してどうなるのよ。試験は終わってるんだし」
「そうだけど、今日の結果のために死ぬ気で頑張ったんだ。これで僕の番号が載ってなかったらこれから生きてけないかも」
「大袈裟ね。受験に失敗して生きてけないならこの世の中大半の人は死んでることになるじゃないの。受験なんてちっぽけなのよ。事業に失敗した人、家族を失った人、巨額の借金抱えた人。今も絶望の淵に立ってる人だって少なくない。この電車にも結果が心配な浪人生がいるかもね」
「そ、そうかもしれないけど。もっと優しい言葉とかないの?」
「私にそんなの期待しても無駄だって知ってるでしょ。昨日今日の付き合いじゃないんだし。受験に失敗して全てが終わりだと思って命を絶つ人もいるらしいけど、全員がそうなら日本の自殺率はうなぎ登りね。まぁ、昴がそこまで追い詰められてるようには見えないけど」
 確かに、彼女に優しい言葉なんて期待しても意味がない。僕がほしい言葉を彼女が口にしたことなんて一度もない。でも、はやる気持ちとか心許ない感じを落ち着かせたかった。ただ、それだけだった。
「ごめん、僕が軽率でした」
「なんで謝るの?謝罪がほしいわけじゃない。思ったことを言っただけよ」
 それっきり会話はなくなった。急行列車の揺れだけが僕を癒してくれるようなそんな気さえしていた。
 大学に到着すると、理緒とは別れた。合格発表の場所が学部によってことなっていたからだ。人の波をかき分けて進んでいると、どうしようもない不安が徐々に広がっていった。理緒が近くにいないだけでこんなに寂しく感じることはそれまでなかったことだ。僕を支配していたのは将来に対する不安だけだったのに。結果はすでに掲示されていたらしく、多くの受験生を見た。心の底から喜び、全身でそれを表現してる人もいれば、それとは対照的にこの世の終わりでも来たかのように泣き続ける人。それらを無視して、僕は自分の番号を探すことにだけ集中した。
「あ、あった」
 意外とあっさり見つかって、意外とあっけない感じさえした。すぐに喜びを感じることはなかったが親や学校に電話で合格報告をしてるうち、ひしひしを嬉しくなってきた。落ちて泣いてる人も少なくなかったが、僕は浮かれていた。多分、かなりにやけた顔をしていたと思う。
 手続きを終え、理緒と待ち合わせしてる正門へと向かった。
「受かったんだ。おめでとう」
「まだ何も言ってないけど」
「顔に全部書いてるもの。昴は分かりやすいね」
「どーも。理緒は?」
「受かったけど」
「おめでとう。それにしては反応薄いね。相変わらず」
「落ちるとは思ってなかったから」
「嫌味にしか聞こえないな。落ちた人もいるんだから言葉には気をつけろよ」
「昴に指図されたくない。昴だって行きの電車じゃ落ちたら生きてけないとかぬかしてたじゃない。よかったね、勝ち組になれて」
 本当に相変わらずだった。理緒にはこの大学を志望した本当の理由を言ってない。誰にも言ってない。ただ理緒と一緒にいたいから。他に理由はない。ただ、それだけ。

  僕の彼女は変わっていた。自分の世界を持っていて、悲観的で厭世的な人だった。彼女が僕のことをどう思っていたのかは知らない。だけど、僕は彼女が大好きだった。それこそ、これ以上ないってくらい。

「僕のこと好き?」
そう聞くと、肯定も否定もしないような答えが返ってきた。
「好きか好きじゃないかの二択?だったら好きじゃない。二択じゃないなら、どうでもいい。人の感情に明確な答えを求めるなんて馬鹿げてる」
 そうかもね。でも、僕は君から「好き」って聞きたかったんだ。
「僕は理緒のこと好きだから」
「そんなの一時の迷いでしょ。恋愛感情は大体2年くらいしか継続しないもの。今はそうでも、いつか別の誰かに惹かれるに違いない」
「それは僕への忠告?」
「私にも言えること。私だけじゃない。ずっと同じ人を思い続けるなんて、エネルギー使うもの。それに男は浮気するものだし。名前を付けて保存なんでしょ?いつだって過去の人を思い出しては私とくらべてるんじゃないの」
 否定はできなかった。今まで好きになった人と彼女を比べたりはしないけど、時々思い出してはいたから。でも、彼女を好きになった瞬間、今までの人はどうでもよくなったんだ。彼女以上に夢中になれる誰かを僕は知らない。
「僕は理緒のこと好きだけどね。しつこいとかうざいとか思われても理緒のこと想い続けるよ」
「口約束なんて信用できない」
「それでもいい。要らなくなったらいつでも捨てていいから」
「私を悪者にするの?」
「そういうわけじゃないけどね」
「大体、告白する方はされる方の迷惑とか考えないのよね。ふったら悪者になるし、受け入れたら長々と恋愛ごっこに付き合わされるんだもの。気持ちだけでも知ってほしいから返事は期待してないなんて論外。する方はけじめのつもりだろうし、すっきりもするだろうけど、された方は迷惑以外の何物でもない。された方に相手がいる場合はその関係がこじれて、最悪の場合は破局ね。そうなっても、する方は責任取らないのに」
「じゃあ、なんで僕と付き合ってるの?」
「忘れた。なんとなくじゃないの?まぁ、昴はしつこく好きだとか愛してるとか言う以外は問題ないと思うもの。重くないってのはあらゆる人間関係を円滑にするには重要な要素だしね」
「嘘でもいいから、好きだからとか言ってほしいんだけど」
「嘘なら意味ないじゃないの。私にそんな言葉を求める方がどうかしてる。私がこんなんだって知ってるから一緒にいるんでしょ。言葉がほしいなら、もっとかわいくて素直な子にしたら?」
「他は考えられないな。理緒が好きだから」
 ふーんと言って顔をそらして歩き出した彼女を僕はかわいいと思った。横顔は髪の毛に隠れていて表情はよく分からなかったけど、少し見えた口角が上がっていたから。しつこいとかうざいとか言うことはあっても、彼女は決してやめろとは言わない。だから僕たちは一緒にいたんだ。
人は人を許容できない
だから血で大地を染め上げる
だけど人は罪から逃れたがる
だから
真っ赤な大地に白を上塗りするんだ

私はここにいる

人は人を支配したがる
人は新たな土地を求めるの

もうすぐここも赤になって白になる

さぁ
何処に行こう

もう白くなった大地しか見えない

何処にも行けない

ここは私のモノだと主張しても
誰も聞く耳は持っていない

私は目の前の征服者を許容しない
ここは安息の地
私のモノ

私の血で赤く染まって
白くなる

世界は全て白になる
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