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詩と小説
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  僕の彼女は変わっていた。自分の世界を持っていて、悲観的で厭世的な人だった。彼女が僕のことをどう思っていたのかは知らない。だけど、僕は彼女が大好きだった。それこそ、これ以上ないってくらい。

「僕のこと好き?」
そう聞くと、肯定も否定もしないような答えが返ってきた。
「好きか好きじゃないかの二択?だったら好きじゃない。二択じゃないなら、どうでもいい。人の感情に明確な答えを求めるなんて馬鹿げてる」
 そうかもね。でも、僕は君から「好き」って聞きたかったんだ。
「僕は理緒のこと好きだから」
「そんなの一時の迷いでしょ。恋愛感情は大体2年くらいしか継続しないもの。今はそうでも、いつか別の誰かに惹かれるに違いない」
「それは僕への忠告?」
「私にも言えること。私だけじゃない。ずっと同じ人を思い続けるなんて、エネルギー使うもの。それに男は浮気するものだし。名前を付けて保存なんでしょ?いつだって過去の人を思い出しては私とくらべてるんじゃないの」
 否定はできなかった。今まで好きになった人と彼女を比べたりはしないけど、時々思い出してはいたから。でも、彼女を好きになった瞬間、今までの人はどうでもよくなったんだ。彼女以上に夢中になれる誰かを僕は知らない。
「僕は理緒のこと好きだけどね。しつこいとかうざいとか思われても理緒のこと想い続けるよ」
「口約束なんて信用できない」
「それでもいい。要らなくなったらいつでも捨てていいから」
「私を悪者にするの?」
「そういうわけじゃないけどね」
「大体、告白する方はされる方の迷惑とか考えないのよね。ふったら悪者になるし、受け入れたら長々と恋愛ごっこに付き合わされるんだもの。気持ちだけでも知ってほしいから返事は期待してないなんて論外。する方はけじめのつもりだろうし、すっきりもするだろうけど、された方は迷惑以外の何物でもない。された方に相手がいる場合はその関係がこじれて、最悪の場合は破局ね。そうなっても、する方は責任取らないのに」
「じゃあ、なんで僕と付き合ってるの?」
「忘れた。なんとなくじゃないの?まぁ、昴はしつこく好きだとか愛してるとか言う以外は問題ないと思うもの。重くないってのはあらゆる人間関係を円滑にするには重要な要素だしね」
「嘘でもいいから、好きだからとか言ってほしいんだけど」
「嘘なら意味ないじゃないの。私にそんな言葉を求める方がどうかしてる。私がこんなんだって知ってるから一緒にいるんでしょ。言葉がほしいなら、もっとかわいくて素直な子にしたら?」
「他は考えられないな。理緒が好きだから」
 ふーんと言って顔をそらして歩き出した彼女を僕はかわいいと思った。横顔は髪の毛に隠れていて表情はよく分からなかったけど、少し見えた口角が上がっていたから。しつこいとかうざいとか言うことはあっても、彼女は決してやめろとは言わない。だから僕たちは一緒にいたんだ。
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